スマホ新法とは?外部決済・外部リンクの規制内容とApple・Googleの手数料
2026.09.03

スマホ新法は、2025年12月18日に全面施行された、AppleとGoogleが提供するスマートフォン向けサービスの競争環境を整える法律です。この法律によって、これまでアプリ内課金に限られていたスマホアプリの決済に「外部決済(アプリ外のウェブサイトなどで決済を完了させる方法)」という選択肢が公式に認められました。
この記事では、スマホ新法がなぜできたのか、外部決済・外部リンクに関する規制内容、AppleとGoogleの手数料の変化までをわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- スマホ新法とは何か、外部決済・外部リンクが解禁された理由
- 外部決済・外部リンクに関する具体的な禁止行為と、違反時の罰則
- Apple・Googleの外部決済の手数料と、事業者が導入時に注意すべきこと
スマホ新法とは?外部決済・外部リンクが解禁された背景

スマホ新法の正式名称は「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」です。公正取引委員会(スマホ法特設ページ)によると、この法律は2024年6月に成立し、2025年12月18日に全面施行されました。
スマホの利用に特に必要なソフトウェア(モバイルOS・アプリストア・ブラウザ・検索エンジン。法律上は「特定ソフトウェア」と呼ばれます)は、AppleとGoogleという少数の事業者による寡占状態にあります。公正取引委員会は、この寡占状態のもとで自由な競争が妨げられており、独占禁止法による個別事案ごとの対応では立証に長い時間がかかることから、あらかじめ禁止事項・遵守事項を法律で定めることにしました。
この法律で公正取引委員会から「指定事業者」(規制の対象として個別に指定された事業者)に指定されたのは、Apple Inc.・iTunes株式会社・Google LLCの3社です。指定事業者には、他社の課金システムや外部サイトへの誘導を妨げてはならないという義務が課され、これによってアプリ事業者は「アプリ内課金以外の決済方法」を選べるようになりました。これが、アプリの月額会員費用や有料コンテンツを、Apple・Googleを介さずに決済する「アプリ外課金」が広まった直接のきっかけです。
スマホ新法の規制内容|外部決済・外部リンクに関する禁止行為
スマホ新法は、指定事業者に対して9つの禁止行為と5つの遵守義務を定めています(公正取引委員会「スマホソフトウェア競争促進法 概要資料」pdf)。このうち、外部決済・外部リンクに直接関わるのは次の2つの禁止行為です。
- 他の課金システムの利用妨害の禁止(法8条1号):アプリ内で、指定事業者以外の課金システムの利用を妨げてはならないという規定です。これにより、アプリ内に別の決済代行サービスの課金システムを組み込むことが可能になりました。
- リンクアウト・ステアリングの制限等の禁止(法8条2号):「リンクアウト」(アプリ内から外部のウェブサイトへ誘導するリンク)や「ステアリング」(外部の購入方法があることをユーザーに知らせる行為)を制限してはならないという規定です。これにより、アプリ内から自社サイトへ誘導し、そこで決済を完了させる「外部決済」が可能になりました。
これらの禁止行為に違反すると、公正取引委員会は「排除措置命令」(違反行為をやめるよう命じる行政処分)を出すことができ、あわせて売上額の20%を算定率とする「課徴金」(違反事業者に科される金銭的な制裁)の納付を命じることができます。
なお、スマホ新法にはデータの取り扱いや検索結果表示の公平性に関する規定など、外部決済以外の禁止行為・遵守義務も定められていますが、事業者としてまず押さえておくべきは上記の2点です。
施行までの経緯とスケジュール
スマホ新法は、一度にすべてが施行されたわけではなく、段階的に施行されています。
- 2024年6月:法律成立・公布
- 2024年12月19日:指定事業者の指定に関する規定が先行施行
- 2025年3月26日:公正取引委員会がApple Inc.・iTunes株式会社・Google LLCを指定事業者として指定
- 2025年12月18日:外部決済・外部リンクの禁止行為を含め、全面施行
つまり、外部決済という選択肢が実際に使えるようになったのは2025年12月18日からです。AppleとGoogleはこの施行日に合わせて、外部決済用のプログラムや開発者向けの技術要件(後述)を公開しました。
規制対象事業者と罰則・課徴金
スマホ新法の規制対象(指定事業者)は次の3社です。
- Apple Inc.(モバイルOS「iOS」、アプリストア「App Store」、ブラウザ「Safari」)
- iTunes株式会社(アプリストア「App Store」の国内窓口)
- Google LLC(モバイルOS「Android」、アプリストア「Google Play」、ブラウザ「Chrome」、検索エンジン「Google検索」)
規制対象はこの3社のみで、PAY.JPを含む決済代行サービスや、一般のアプリ事業者・ECサイト運営者が直接この法律の規制を受けるわけではありません。むしろアプリ事業者にとっては、これまで選べなかった決済方法の選択肢が増える「規制緩和」に近い法律です。
違反時の措置は禁止行為の内容によって異なり、外部決済・外部リンクに関する禁止行為(法8条1号・2号)に違反した場合は、排除措置命令・課徴金納付命令(算定率20%)に加え、事業者からの差止請求や無過失損害賠償請求の対象にもなります。
Apple・Googleの外部決済対応と手数料の変化

AppleとGoogleは、それぞれ日本向けに外部決済の仕組みと手数料を公開しています。数値は今後変更される可能性があるため、必ず各社の公式ページで最新情報を確認してください。
Apple(日本国内のApp Storeにおける決済オプション)
Appleは「アプリ内で別の決済事業者を使う方法」と「アプリ外のウェブサイトへリンクで誘導する方法」の2種類を用意しています。アプリ外へのリンク誘導(Store services commission)の場合、通常は売上の15%、App Store中小企業向けプログラム等の参加者や2年目以降の自動更新サブスクリプションは10%が手数料としてかかります。この手数料は、リンクをタップしてから7日以内に成立した購入にのみ適用される点が特徴です(従来のApple In-App Purchaseは、決済処理費5%と別枠の手数料10〜21%を合算した金額がかかります)。
Google(外部決済プログラムへの登録)
Googleの外部決済プログラムでは、外部決済リンクをタップしてから24時間以内に決済が完了した取引に対してサービス手数料が発生します。手数料は、定期購入の自動更新は10%、年間総収益が100万米ドルに達するまでの事業者は10%、それ以外のアプリ内デジタルコンテンツ購入は20%です。
このように、外部決済の手数料はApple・Googleの通常のアプリ内課金(Appleは決済処理費とコミッションの合算で最大26%程度、Googleは年間収益100万米ドルを超える事業者で最大30%)より低く設定されていますが、0円になるわけではない点に注意が必要です。
また、Appleは「7日間」、Googleは「24時間」と、外部決済とみなされる期間(アトリビューション期間)が異なるため、どちらのプラットフォームで展開するかによって設計を変える必要があります。この期間はあくまで「その決済に手数料が発生するかどうか」を判定するための期間で、期間を過ぎたあとに成立した購入には、この手数料はかかりません(ユーザーが再度リンクをタップすれば、そこから新たに7日間・24時間のカウントが始まります)。
事業者が対応すべきこと・注意点
外部決済を導入する場合、事業者はApple In-App Purchase・Google Playの課金システムが自動で担っていた次のような業務を、自社(または決済代行サービス)で行う必要があります。
- 消費税など税金の計算・納付:Apple・Google経由の決済では各社が処理していた税務対応を、外部決済では事業者側が行う必要があります
- 取引内容のApple・Googleへの報告:外部決済で成立した取引は、返金・失敗取引を含めてApple・Googleに定期的に報告する義務があります
- カスタマーサポート・不正利用対応:購入履歴の管理や問い合わせ対応、不正利用時の異議申し立て対応窓口を自社で用意する必要があります
- 決済のセキュリティ確保:カード情報を安全に取り扱うための体制(決済代行サービスの活用が現実的な選択肢です)
これらの業務は、定期課金機能を持つ決済代行サービスを組み合わせることで、開発負荷を抑えながら対応できます。サブスクリプション型サービス全体の仕組みについてはサブスクとは?意味・仕組み・ビジネスモデルをわかりやすく解説、アプリ外課金の具体的な仕組みやメリット・デメリットは「アプリ外課金」とは?仕組みやメリット、AppleとGoogleの手数料を最新比較で詳しく解説しています。
PAY.JPで外部決済導入を支援する方法
スマホ新法の施行によって外部決済という選択肢が生まれた一方、事業者側で新たに管理しなければならない業務(税務対応・報告義務・決済セキュリティなど)も増えています。PAY.JPでは、こうした外部決済用の自社ウェブサイト決済ページに、クレジットカード決済・定期課金の機能を導入いただけます。
- 追加費用なしで導入できる:定期課金機能は追加費用なしで提供しており、料率はプランによって異なります。月額0円のスタンダードプランは3.3%、月額20,000円のビジネスプランは2.78%、月額50,000円のエンタープライズプランはVisa・Mastercardが2.59%・その他ブランドが2.7%です(詳細は料金プランを参照)
- 学習コストを抑えて実装できる:定期課金を行うドキュメントで解説しており、定期課金についてにFAQもまとまっています
- 導入前の段階から相談できる:導入をご検討中の事業者向けの情報は導入をご検討中の事業主様へを参照してください
外部決済への切り替えを検討している事業者は、Apple・Googleの手数料と決済代行サービスの手数料を合わせたトータルコストで比較検討することをおすすめします。
まとめ
- スマホ新法は2025年12月18日に全面施行された、Apple・Googleの寡占状態を是正するための法律
- 「他の課金システムの利用妨害の禁止」「リンクアウト・ステアリングの制限等の禁止」により、アプリ外課金・外部決済が可能になった
- 違反した指定事業者には排除措置命令と算定率20%の課徴金が科される
- Apple(原則15%・アトリビューション期間7日)・Google(原則20%・アトリビューション期間24時間)と、外部決済の手数料・条件は両社で異なる
- 外部決済導入には税務・報告義務・セキュリティ対応が伴うため、PAY.JPのような決済代行サービスの活用が現実的な選択肢になる