ライブコマース決済とは?仕組み・決済方法・導入のポイントを解説

2026.10.26

ライブコマース決済とは、ライブ配信を見ている視聴者が、配信中に紹介された商品をその場で購入できるようにするための決済の仕組みのことです。

この記事では、ライブコマースのプラットフォームを運営する事業者に向けて、ライブコマース決済の仕組みや導入する際の注意点をわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • ライブコマースの意味と、視聴者の購入から出品者への入金までの流れ
  • プラットフォーム運営者が用意すべき支払いの場所と、主な決済手段
  • 運営者に必要な売上分配の仕組みと、ライブコマース決済を導入する際の注意点

ライブコマース決済とは?基本の意味

ライブコマースとは

ライブコマースとは、ライブ配信(リアルタイムの動画配信)を通じて商品を紹介・販売する販売手法のことです。配信者が商品を実際に使って見せたり、視聴者からのコメントや質問にその場で答えたりしながら販売するため、写真と文章だけのECサイトに比べて商品の魅力や使用感が伝わりやすいのが特徴です。「ライブ販売」「ライブショッピング」と呼ばれることもあります。

テレビ通販と似ていますが、ライブコマースは視聴者がコメントで双方向にやり取りできる点、スマートフォンからその場で購入できる点、個人の配信者でも手軽に始められる点が大きく異なります。

ライブコマースプラットフォームとは

ライブコマースには、1つのショップが自社の商品を自社で配信して売る形と、複数の配信者・出品者が集まり、運営者が配信と販売の場を提供する「ライブコマースプラットフォーム」の形があります。たとえばTikTok Shopのように、多数の出品者がアプリ上で配信・販売し、視聴者はアプリの中で購入まで完結できる形がこれにあたります。

ライブコマースプラットフォームには、主に次の3者が関わります。

  • 視聴者(購入者):配信を見て、商品を購入する人
  • 出品者(配信者):プラットフォーム上で配信し、商品を販売・発送する事業者や個人
  • 運営者:配信と販売の場を提供し、売上の一部を手数料として受け取る事業者

ライブコマース決済の位置づけ

ライブコマース決済は、このライブコマースの「購入」の部分を支える仕組みです。通常のECサイトの決済と基本的な仕組みは同じですが、プラットフォームで運用する場合には次のような特徴があります。

  • 購入のタイミングが配信中の短い時間に集中する:「今から10分間限定」のような売り方をするため、決済の手軽さとスピードが売上を大きく左右する
  • 視聴画面から離れずに買えることが重視される:決済のために別の画面へ移動し、長いフォームを入力させると離脱が増えやすい
  • 代金を出品者ごとに分けて支払う必要がある:運営者は、集めた代金から自社の手数料を差し引き、残りを出品者ごとに支払う仕組みを用意しなければならない

ライブコマース決済の仕組みと購入の流れ

ライブコマースプラットフォームで視聴者が商品を購入し、出品者に代金が届くまでの流れは、おおむね次のとおりです。

  1. 配信中に商品を紹介する:出品者が配信で商品を紹介し、画面上に商品情報や購入ボタンを表示する
  2. 購入・決済情報を入力する:視聴者が購入ボタンを押して商品や数量を選び、クレジットカード情報などを入力する(プラットフォームに一度登録した情報を使い回せれば、入力の手間はほぼなくなる)
  3. 運営者が決済を依頼する:運営者のプラットフォームが、決済代行会社(事業者に代わってクレジットカード会社などとの決済処理をまとめて引き受ける会社)に決済を依頼する
  4. カード会社に利用可否を確認する:決済代行会社が不正利用の疑いがないかを確認し、カード会社にカードが利用可能かを照会する
  5. 購入完了・商品の発送:決済が完了すると、出品者に注文が通知され、出品者が商品を発送する
  6. 運営者・出品者への入金:決済代行会社が売上を集計し、運営者には手数料分を、出品者には運営者の手数料と決済手数料を差し引いた売上を入金する

視聴者から見ると「ボタンを押して、カード情報を確認して、購入完了」という数十秒の体験ですが、その裏側では決済代行会社を通じたカード会社への確認や、運営者と出品者への売上の振り分け・入金といった処理が動いています。

支払う場所は「配信画面内」と「外部サイト」の2通り

ライブコマースで視聴者が購入ボタンを押したあと、どこで支払いを済ませるかは大きく2通りあります。配信を見ている画面の中でそのまま支払う方法と、出品者のECサイトなど別のページに移ってから支払う方法です。運営者にとっては、どちらを選ぶかで「誰が代金を受け取るか」が変わります。

配信画面の中で支払う(アプリ内完結型)

配信画面の中で、商品選択から決済までを完結させるタイプです。視聴者が画面から離れずに買えるため、離脱が少ないのがメリットです。代金は運営者が受け取り、自社の手数料を差し引いて収益にできます。その分、決済と出品者への売上分配の仕組みを自社のプラットフォームに組み込む必要があります。

外部サイトに移って支払う(外部誘導型)

配信画面のリンクから、出品者のECサイトなどに移動して決済してもらうタイプです。代金は出品者が直接受け取るため、運営者は決済の仕組みを持たずに始められます。ただし、画面を移動する分だけ離脱が起きやすく、運営者が販売額に応じた手数料を受け取るには、出品者に別途請求する必要があります。

販売手数料をプラットフォームの収益の柱にするなら、配信画面の中で支払いまで完結させ、代金を運営者側で受け取る形が基本になります。

プラットフォームで用意したい主な決済手段

ライブコマースでは「思い立ったらすぐ買える」ことが重要なため、配信中にその場で支払いが完了する決済手段を中心に用意します。特に重要なのは次の2つです。

  • クレジットカード決済:オンライン決済で最も広く使われる決済手段。即時に決済が確定するため、配信中の限定販売とも相性がよい
  • スマホ決済(ウォレット決済):Apple Payのように、スマートフォンに登録済みのカード情報で決済する方法。カード番号を入力する手間がなく、スマートフォンで視聴する人の多いライブコマースに向いている

あわせて、視聴者がプラットフォームに支払い情報を一度登録すれば、どの出品者の配信からでも同じ情報で購入できるようにしておくと、出品者をまたいだ購入の手間を大幅に減らせます。

運営者に必要な売上分配の仕組み

ライブコマースプラットフォームの運営者は、通常のEC決済に加えて、次のような仕組みを用意する必要があります。

代金を出品者ごとに分けて支払う

視聴者が支払った代金をいったん運営者側で受け取り、運営者の手数料を差し引いたうえで、各出品者に支払う必要があります。出品者の数が増えるほど、「誰の配信で、何がいくら売れ、いくら振り込むか」という集計・振込の業務は複雑になります。こうした「集めた代金を複数の相手に分けて支払う」決済は分配決済と呼ばれます。

出品者の審査・管理

出品者として事業者を受け入れる場合は、なりすましや不正な出品を防ぐために、出品者ごとの本人確認・事業者確認(審査)が必要になるのが一般的です。一方で、個人が気軽に出品できるCtoC(個人間取引)型のライブコマースでは、審査よりもスピーディーな精算が重視される傾向があります。 

資金決済法への対応

運営者が代金を一時的に預かり、出品者に送金する形をとる場合、資金決済法上の「資金移動業」(銀行以外の事業者が、他人に代わって送金を行うために必要な登録制度)の登録が必要になるケースがあります。自社のスキームで登録が必要かどうかは、事前に弁護士などの専門家や決済代行会社に確認しておくと安心です。

プラットフォーム型ビジネス全体の仕組みについてはプラットフォームビジネスとは?、利用者同士を結びつけるサイトの基本はマッチングサイトとは?で詳しく解説しています。

ライブコマース決済を導入する際の注意点

配信中のアクセス集中に備える

人気の配信者が販売開始を告知すると、短時間に購入が集中します。決済画面が表示されない・処理が遅れるといったトラブルは、そのまま売上の損失です。アクセス集中に強い決済サービスを選び、在庫数を超えて注文を受け付けない仕組みも用意しておきましょう。

不正利用・なりすまし購入を防ぐ

ライブコマースもネット上でカード決済を受け付ける以上、盗まれたカード番号による不正購入(なりすまし購入)の対象になります。日本クレジット協会「クレジットカード不正利用被害の集計結果について」pdf(2026年3月公表)によると、2025年のカード不正利用被害額は510.5億円で、9割以上がカード番号の盗用によるものです。

2025年3月に改訂された「クレジットカード・セキュリティガイドライン」(経済産業省公表)では、すべてのEC加盟店にEMV 3-Dセキュア(パスワードなどでカード会員本人かを確認する本人認証の仕組み)の導入が求められています。あわせて、過去の取引データから不正の疑いがある取引を検知する仕組みも組み合わせると安心です。

出品者に返品ルールを表示してもらう

ライブコマースは特定商取引法上の「通信販売」にあたり、販売者である出品者には、販売者名・連絡先などの表示が求められます。返品のルール(返品特約)を表示していない場合は、商品の受け取りから8日以内なら購入者が返品できます(送料は購入者負担)。運営者は、出品者がこれらを購入画面に掲載できる仕組みを用意しておきましょう(参考:消費者庁「特定商取引法ガイド」(通信販売))。

出品者と視聴者のトラブルに備える

2022年5月施行の「取引デジタルプラットフォーム消費者保護法」では、事業者が出品する通信販売の場の運営者に、購入者と出品者の連絡手段の確保や、出品者の身元確認などに取り組むよう求めています(努力義務)。出品者の審査や問い合わせ窓口も、決済とあわせて立ち上げ段階から設計しておきましょう。

PAY.JP Platformで決済基盤を構築する方法

PAY.JPは、事業者がWebサイトやアプリにオンライン決済を組み込むための決済サービスです。複数の配信者・出品者が集まるライブコマースプラットフォームには、プラットフォーム型ビジネス向けのPAY.JP Platformが選択肢になります(2026年時点でベータ版として提供中)。

出品者の形に合わせて2つの型を選べる

PAY.JP Platformでは、事業モデルに合わせて2つの運用スキームを選べます。

  • Marketplace型:法人・事業者が出品者となるBtoC型のプラットフォーム向け。PAY.JPが出品者ごとの審査業務も代行する
  • Payouts型:個人が出品者となるCtoC型のプラットフォーム向け。出品者側の審査は不要で、精算・分配業務を代行する

視聴者は、クレジットカード決済とApple Payで支払えます。

売上の振り分けと入金を任せられる

運営者は、決済ごと、または出品者ごとに自社の手数料(プラットフォーム手数料)を設定できます。PAY.JPが運営者の手数料と出品者の売上を自動で集計し、運営者には手数料分を、出品者には売上から運営者の手数料とPAY.JPの決済手数料を差し引いた額を入金します。

出品者ごとの売上の内訳は管理画面からCSVでダウンロードでき、精算業務の負担を抑えながら、運営者は配信・販売の運営に集中できます。詳細はPAY.JP Platform(概要)|APIドキュメント、売上・入金の振り分け、PAY.JP Platform(ベータ版)ヘルプで確認できます。

カード情報の入力と不正対策

視聴者のカード情報の受け取りには、通常のPAY.JPと同じ仕組みを利用します。

たとえばPAY.JP Checkoutを使うと、カード情報の入力フォームを短期間でWebサイトに組み込めます(スマートフォンアプリ向けにはモバイルSDKも用意されています)。入力されたカード情報はPAY.JP側で安全に扱われ、運営者のサーバーにはカード番号の代わりに「トークン」(カード情報を置き換えた、それ自体では意味を持たない文字列)だけが届くため、運営者がカード情報を保持する必要がありません。前述のEMV 3-Dセキュアにも対応しています。

料金プラン

クレジットカード決済の料金プランは、プラン料金ページのとおり、スタンダード(月額0円・3.3%)、ビジネス(月額20,000円・2.78%)、エンタープライズ(月額50,000円・Visa/Mastercardは2.59%、その他ブランドは2.7%)の3つです。導入を検討している場合は、導入をご検討中の事業主様へもあわせてご覧ください。

まとめ

  • ライブコマース決済とは、ライブ配信の視聴者が配信中に商品をその場で購入するための決済の仕組み
  • 配信画面の中でカードやApple Payによる支払いまで完結させ、代金を運営者側で受け取って手数料を収益にするのが基本
  • 導入時は、アクセス集中・不正利用(3Dセキュア)・出品者の表示義務・取引DPF消費者保護法への備えが必要
  • 売上分配や出品者審査の仕組みは、PAY.JP Platformを使えば自社で一から作らずに導入できる

執筆者

PAY.JP編集部

PAY.JPを運営するPAY株式会社の編集部。決済・Fintech・SaaSビジネスに関する情報を、事業者・開発者向けにわかりやすく発信しています。